採用活動において、「圧迫面接」という言葉を耳にすることがあります。これは、面接官が求職者に対して厳しい態度を取ったり、わざとプレッシャーを与えたりする面接手法を指します。かつては「ストレス耐性を試すため」などの理由で行われることもありましたが、現代の採用市場では、この手法が敬遠される傾向にあります。では、なぜ圧迫面接がいけないのか、その理由を掘り下げていきましょう。
求職者に不信感を抱かせる
面接は、求職者と企業の信頼関係を築く重要な場です。しかし、圧迫面接では、面接官が威圧的な態度を取ることで、求職者に「この会社は怖い」「ここではのびのび働けないのでは?」といった不安を抱かせてしまいます。
例えば、次のような対応は求職者にとって大きなマイナスとなります。
- 無愛想で冷たい態度をとる
- 「本当にこの仕事ができるの?」と疑問を投げかけ続ける
- 求職者が答えに詰まると沈黙し、さらにプレッシャーをかける
こうした対応は、求職者に対して企業のカルチャーをネガティブに印象付ける結果となります。
本来の実力を引き出せない
圧迫面接の目的として、「ストレス耐性を試す」という意図がある場合があります。しかし、求職者が過度なプレッシャーを感じると、本来の能力や経験を十分に伝えられない可能性があります。
緊張感のある環境では、
- 論理的に話せなくなる
- 普段できることができなくなる
- 本来のポテンシャルを評価できなくなる
これでは、せっかく優秀な人材であっても、実力を発揮できないまま不採用となってしまうかもしれません。企業にとっても、せっかくのチャンスを逃すことになります。
企業イメージを悪化させる
現代の求職活動では、企業の面接対応が口コミやSNSで拡散されることが当たり前になっています。圧迫面接を受けた求職者が、その体験をネットに投稿すれば、企業の評判は一気に悪化します。
例えば、
- 「〇〇社の面接官が高圧的で、最悪だった」
- 「質問が意地悪で、全く話を聞いてもらえなかった」
- 「圧迫面接で不快な思いをした」
といった口コミが拡散されると、優秀な求職者が応募を避けるようになります。結果として、企業は採用市場での競争力を失ってしまうのです。
ミスマッチの原因になる
圧迫面接を行う企業の中には、「本当に入社したい人だけを残す」という意図を持っている場合もあります。しかし、この手法はむしろ、企業と求職者のミスマッチを生む原因になりがちです。
圧迫面接を乗り越えた求職者の中には、
- 面接時の印象とは異なる社風にギャップを感じる
- 実際の職場環境に合わないと感じる
- 入社後すぐに退職する
といったケースが少なくありません。特に、働きやすい環境を求める現代の求職者にとって、圧迫的な対応はネガティブな要因となり、結果として離職率の上昇につながる可能性があります。
代替手法の方が効果的
ストレス耐性や対応力を評価したいのであれば、圧迫面接以外の手法を取り入れる方が合理的です。
例えば、
- ケース面接:実際の業務に関連する課題を出し、求職者の思考力を評価する
- グループディスカッション:協調性や論理的思考を観察する
- 逆質問の時間を増やす:求職者自身の価値観や適性を見極める
こうした方法を取り入れることで、求職者に無駄なストレスを与えることなく、適性を評価することが可能になります。
まとめ
圧迫面接は、求職者に不信感を抱かせ、企業のイメージを悪化させ、最適な人材を逃すリスクが高い手法です。
今後の採用活動では、以下の点を意識しましょう。
- フレンドリーで双方向のコミュニケーションを意識する
- 求職者がリラックスして話せる環境を作る
- 代替手法を活用し、適性を見極める
- 企業ブランドを大切にし、ポジティブな印象を与える
採用は「企業が求職者を選ぶ場」ではなく、「求職者に選ばれる場」でもあります。より良い採用活動のために、圧迫面接を見直し、求職者にとって魅力的な企業としての姿勢を示していきましょう。